エラリイ・クイーン著「十日間の不思議」の感想。楽しめる心理ミステリー。

クイーンの作品にはたびたび登場する架空の町ライツヴィルを舞台にした第3話。

クイーンは、知り合いの彫刻家から、記憶喪失のあいだに犯罪を犯したのではとの相談を持ちかけられる。彼の故郷を訪れると、盗難事件と脅迫事件が立て続けに起きる。複雑な家族関係と家族にまつわる秘密を解明しようと捜査を進めると、ついに殺人事件が発生する。

どちらかと言うと心理的ミステリー。大きな事件はなかなか起こらないし、登場人物が限られている。それなのに、なかなか読ませるストーリーになっている。相談者の不思議な状況から徐々に家族の秘密が明らかになり、事件の発生も重なって、一気に謎解きのクライマックスへ。スピード感のある終盤は引き込まれてしまう。最後のどんでん返し的なオチもよい。

テンポのよい展開、心理戦と謎解きのバランスのよさ。なかなか楽しめるミステリー。