映画「引き裂かれたカーテン」(1966)の感想。ヒッチコック監督のスパイ映画。

決して傑作とは言えないが、お気に入りの映画というものがある。この「引き裂かれたカーテン」は自分にとってはそういう映画のひとつ。

国際学会参加中のアメリカのロケット研究者が、東側のロケット機密情報を入手しようと偽装亡命を謀る。同行した何も知らない婚約者せいで、予想もしなかったトラブルが発生する。うまく機密情報を手に入れ、東ドイツから脱出を図る。

ソフトタッチの典型的スパイ映画。鉄のカーテンの向こう側を扱ったスパイ映画は、シリアスな展開のものが多いが、これは穏やかなサスペンス。話もわかりやすい。

ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースのおしどり研究者が主人公。前半は、訳がわからないままに問題に巻き込まれる婚約者。ヒッチコック作品のいつもパターン。後半は、ハラハラどきどきの東ドイツからの脱出劇。

難解な数式を扱う物理学者、冷戦の最前線の鉄のカーテン、東ドイツの寒々しい雰囲気の組み合わせで、スパイ映画の雰囲気を醸し出す。最盛期ほどではないが、ヒッチコックのハラハラ感が好きな人にはおすすめ。

ヒッチコックの出演は、ホテルのロビーで赤ん坊を抱いているシーン。