映画「フィラデルフィア」(1993)の感想。トム・ハンクス主演。

1993年公開のアメリカ映画。エイズと同性愛についての法廷ドラマ。トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン出演。

主人公のベケットは、大手法律事務所で働く将来有望の弁護士だった。彼は同性愛者でエイズ患者であったが、それを事務所には隠していた。しかし、不思議なことに重要な訴状が紛失し、それを理由に解雇を言い渡される。エイズ差別により解雇されたと思った主人公は、訴訟を決意する。

時代が少し前のことで、今とはエイズや同性愛に対する社会の対応も違った頃の話。社会的にひどい差別や扱いを受ける主人公が、それにめげずに戦う姿がメインに描かれる。

デンゼル・ワシントンは、一本気で正義感あふれる役が多いが、この映画では少し微妙な弁護士を演じている。弁護士としての強い使命感は持ってはいるが、個人的な感情としてはどうしても同性愛者を受け入れることができない。揺れ動く心情をうまく表現している。

正義感だけのキャラにしなかったことが、この問題の複雑さをあらわしている。法的に権利が守られたとしても、感情の点で受け入れることができるのかという問題は今でも残っているだろう。

社会派の作品。考えさせられるテーマだ。