映画「どら平太」(2000)の感想。市川崑監督、役所広司主演。

黒澤明をはじめとする、そうそうたる面々による脚本。そして監督が市川崑で、主役が役所広司。これで期待しないわけにはいかないだろう。

ストーリーは、スーパーマンによる痛快な世直し時代劇。役所広司演じる新任の町奉行は、腐った藩政を改革するために江戸の主君から国元に派遣される。そこでは、ヤクザの縄張りである歓楽街が無法地帯化しており、家老たちは賄賂を受け取ることで黙認していた。一筋縄ではいかいないと思った町奉行は、無能で遊び人のふりをしてヤクザたちに近づく。

よくつくりこまれているし、映像もきれいだ。役所広司の緩んだ顔つきとキリッとした表情の使い分けもうまい。悪家老たちも貫禄充分。面白い作品に違いないが、期待値が高かったこともあって少し残念なところもある。

ストーリーが少しスムーズ過ぎるかな。町奉行の作戦がうまく決まりすぎるし、超人的な剣の達人に変身して刺客たちをすべて討ち取ってしまうのもやりすぎかな。ヤクザの抵抗もいまいち迫力不足。何もかも上手く行きすぎて、町奉行の活躍振りがお手本をなぞっているだけのように見えてしまう。

最後に、主君からの命令も偽物だったことが明かされるが、インパクトは薄い。