映画「嵐を呼ぶ男」(1957)の感想。石原裕次郎、北原三枝主演。

1957年公開の日活映画。石原裕次郎、北原三枝主演。

銀座のジャズ喫茶の女性マネージャーのところに若手ドラマーから売り込みがある。お抱えの売れっ子ドラマーの反抗的な行動が目に余るようになったため、その青年と会ってみることにする。荒削りながら才能を認めたため契約を結び、自宅に住み込ませて直接指導を始める。

石原裕次郎が銀幕のスターとして登場した頃の作品。家庭にはまだテレビがなかった昭和30年代の初めで、いろんなところに時代を感じさせる。戦後まだ12年しか経っていないのだから。

ジャズバンドのドラマーという華やかな世界。威勢のいい若者が、運と実力で一気にスターダムにのし上がる。痛快な成功物語だ。単純なストーリーではあるが、ライバルのドラマーたちとの対立や家族愛と母との確執が同時描かれ、苦悩する若者の成長物語でもある。

石原裕次郎の格好良さばかりに目がいくが、ポイントをおさえた作品だと思う。裕次郎のスカッとするヒーロー像を前面に出し、明快なストーリーで深みも持たせている。当時の世相が要求するヒーロー像に、はまった作品だと思う。