映画「ナポレオン」(2023)の感想。

封切り初日にTOHOシネマズで鑑賞。観客は55人くらいで、かなり入っていた。

ナポレオンの半生を描いた英雄伝。時代としてはフランス革命からセントヘレナで最期をむかえるまで。

歴史的な出来事とジョセフィーヌとの関係に苦悩する様子をつなげて英雄の足跡をたどっている。こういう構成だと、どうしてもつぎはぎ感が出るものだが、あまり感じないで見ることができる。トピックスごとの説明がほとんどないせいだろう。戦いの戦略とか隣国との外交関係、国内政治の権力争いなど、一切の説明がない。英雄が上り詰めて転げ落ちる大きな流れがあるだけだ。

気がつくのは食事の場面が多いこと。人間ナポレオンを描くにはうってつけの手法かもしれないが、戦争とジョセフィーヌを除けば、食事をするくらいの時間しかなかったのが本当のところかもしれない。戦争に忙殺された一生だったことが画面から読み取れる。

見どころは圧倒的な映像の美しさ。緻密につくられたセットの荘厳さと迫力には驚く。とくに戦闘シーンはすばらしい。アウステルリッツの戦いの氷への砲撃シーンなど圧巻の映像が続く。

ナポレオンの実像がうまく表現されている作品だと思う。ドラマチックなストーリー性はないが、歴史的偉業とともに、その裏の英雄の日常生活が克明に描写されている。人間ナポレオンを知ることができる作品。

ナポレオンは名前くらいしか知らないという人は、話を追うのが大変かもしれない。Youtubeでナポレオンの一生といった動画を見て、おおまかな歴史を頭に入れておいたほうがよいと思う。