著者は、江戸時代の末に生まれた森林学者で東京帝大教授。自身が行ってきた投資法と処世術についてまとめた本。
いわゆる一攫千金を求める投資法というよりも、庶民向けの堅実なお金の増やし方。当時の大学の教授であっても、俸給はたかがしれたものだと思う。その中から月給4分の1天引き貯金という方法を手始めに、コツコツとお金を増やしていった考え方だ。
この時代の人が、しっかりとした投資についての考えを持っていたことに驚く。先見の明があるというのはこういう人を言うのであろう。
後半は、処世術について。当時の帝国大学の教授でも、いろいろと人間関係には悩まされたようで、かなり具体的な話がでてくる。
それから少し成功してお金ができたときに、選挙にでるという誘惑にかられたことについての記述もおもしろい。
著者の質素な生活が思い浮かぶような内容。おすすめ。