NHKBSドラマ アガサ・クリスティー「殺人は容易だ」の感想。

たまにNHKで放送があるアガサ・クリスティー原作BBCのドラマ。今回で7作目になる。全2回。

このシリーズは映像と音楽が際立っていて、ぞくぞくするようなミステリアスな雰囲気で物語が進む。今回は黒人のナイジェリア青年が探偵役という設定。イギリスの田舎町ではひときわ目立つし、更にファッションセンスが抜群で、否が応でも目をひく。演じているデヴィッド・ジョンソン表情の演技も秀逸で、見ているだけでも楽しい。

色の使い方も効果的だ。赤や緑の鮮やかな色彩が次々に画面に現れ、静かな田舎町の中では花が咲いたような効果を生む。キドニーステーキのグロテスクな赤は、殺人を連想させ不気味だ。

ストーリーもスピード感がある。偶然出会った老婆との会話から殺人の現場である田舎町に足を踏み入れる展開は、らせん階段を転がり落ちるような、蟻地獄に落ちていくような不穏さを感じさせる。捜査が進むにつれて村人の裏の顔がわかってくる過程でも、次々に殺人が起きる。誰もが怪しそうに見える。これもメリーゴーランドに乗って振り回される感じがする。

最後は、クリスティー作品らしい犯人が明かされる。犯人捜しとしても、もちろん楽しめる作品だ。

NHKBS
アガサ・クリスティー 殺人は容易だ」
2025年7月27日, 8月5日 23:00-24:00