内田康夫原作、市川崑監督のミステリー。
高層ビルの前で突然男が倒れて謎の死を遂げる。一方、取材のために吉野を訪れていた浅見光彦は、林道で転落死した老人の殺人容疑をかけられる。その老人は能楽の名家の長老だった。そして名家の後継者が能の舞台で毒殺されてしまう。
角川映画で市川監督となれば金田一耕助シリーズ。公開時期は少し下ってはいるが、そのときの馴染みの出演者たちが多数キャスティングされていて、ほぼあの雰囲気が再現されている。
市川監督の映像美は相変わらずに凝っている。影を多用する映像と半分影の表情が旧家の持つ不気味な雰囲気を盛りあげている。
ミステリーとしてはいまいちかな。犯人の見当はだいたいついてしまうし、謎解きもしっくりこない。終盤は少しぐだぐだ感がある。
市川崑監督の映像を見るための作品としてはよいと思う。