真田広之が有能なメディアプランナーを演じる。
メディアプランナーの犯人は、都議会議員から新事業の融資から手を引くと告げられたため殺害を計画する。ホテルの議員の部屋を訪れ、自殺にみせかけ射殺する。古畑は、現場の状況から、犯人の人物像のヒントを得る。
有能な社会的成功者の犯人が、自身の地位を守るために目論む完全犯罪。刑事コロンボでも、いちばん多く見られる鉄板パターンだ。
さすがに日本だと豪華な邸宅を用意するのは難しいので、高級ホテルの一室という設定になったのだろう。高級な持ち物でなく、3500円の朝食で金持ち感を出すのも日本人にはしっくりする。
真田広之が隙の無い成功者をうまく演じていて、そこにまとわりつく通常業務の古畑の姿を見ることができる。
電話のアリバイトリックはややお粗末。あれでは足がつくだろう。古畑の推理はいつも通りに鋭い。
電話をしながらの銃殺は刑事コロンボ「構想の死角」、向かいのビルの覗き見はヒッチコックの映画「裏窓」から。そして解決編のトリックは、「祝砲の挽歌」の決め手のリンゴ酒発見をもとにしたもの。
標準的な出来だと思うが、奇をてらっておらず、名探偵古畑任三郎の推理を安心して楽しめるエピソード。
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