以前は大きな書店のミステリーコーナーでは必ずと言っていいほど見かけた本。最近では目にすることもなくってしまった。前書きを読むと面白そうなので、何度となく読んでみようと思ったが、その厚さにひるんで今日まで未読のままだった。最近、古本を入手してやっと読んでみた。
出版されたのは1868年のイギリスで、中身は宝石盗難事件。今読んでも根幹のところではそれほど古さを感じないミステリーだ。シャーロック・ホームズ以前の江戸時代の作家がこんな小説を書いていたというだけでも驚きだ。
登場人物たちが書き手となって手記を連ねる形式。とくに執事のところがいい。どれも詳細な描写が続くので、まわりくどくて受け付けないという人もいるかもしれない。そこに読む楽しみがあると感じられれば、読み応えタップリなのだが。
ミステリーを読む楽しみを感じさせてくれる作品。