映画「女系家族」(1963)の感想。山崎豊子原作、三隅研次監督。

山崎豊子原作、三隅研次監督。大阪船場の繊維問屋を舞台にした相続物語。

手広く商売をしている繊維問屋の三代目が急死した。この家系は代々娘が婿を取ってきた女系家族。財産をめぐって娘3人の相続争いが始まる。そこに身ごもっている父親の愛人が現れ、更にひと悶着となる。

いつの時代でも絶えることのないお金持ちの相続争い。噂話をするには、これほど楽しいネタはない。家庭内の話であっても、これは紛れもなく権力争い。粛清や暗殺までには到らないが、だからこそ身内同士の激しさが際立ってしまう。

見方によっては、コミカル劇である面も。普段は節度を持っている人たちが、欲得に左右されてしまう面白さがうまく描かれている。他人からはあきれるような言動でも、本人たちには引くに引けない状況にあるのだからどうしようもない。そこが一番面白い。

京マチ子、浪花千栄子の鬼のような怖さと大番頭の中村鴈治郎のひょうひょうとしたタヌキぶりは一見の価値あり。