著者の作品の中でも傑作と言われていることは知っていたが、最近まで読む機会がなかった。ブックオフで見つけたので購入。探偵役は神津恭介。
マジック発表会で、ギロチン手品の小道具である人形の首が盗まれた。その首が、首なしの人の死体のそばに転がっているいるのが発見された。神津恭介が事件解決に乗り出すが、第2、第3の事件が連続して起きる。
高木彬光作品は、謎解き一辺倒というよりも、怪奇色や歴史、経済など、それ以外の味つけを加えて、独特の雰囲気を出したものが多い。そこが氏の作品の魅力なのだが、この「人形はなぜ殺される」はトリックものだ。
人形の首にまつわる仕掛けは、連続殺人、複雑な家庭環境など幻惑される状況設定も相まって、なかなか凝っていて楽しめる。
登場人物の設定から、なんとなく犯人がわかってしまうかな。それでも、トリックものとして読みごたえタップリでよい作品だと思う。