古畑任三郎第13話「笑うカンガルー」の感想。犯人役陣内孝則。(ネタバレ)

犯人役は陣内孝則。初の2時間枠のスペシャル版でオーストラリアロケが行われた。

犯人は二人一組の数学者の片方で、自身では研究能力はなく、スポークスマン役を担っていた。不倫相手でもある相方の数学者が妻から、夫を突き飛ばしたら死んでしまったと相談を受ける。そこで偽装工作を行い、階段からの転落死に見せかける。同じホテルに滞在していた古畑は、アリバイ作りに利用されるが、不審な点を感じる。

プロットが凝っていて、殺人が二重構造になっていて、更に最後のオマケつきというオチがある。

しかし、残念ながらこの素晴らしい構成が、それほどうまく機能していない。決定的な証拠を隠し通すか、ファルコンの定理解決の名誉をとるか、の選択を犯人に迫り、そこから犯罪を立証するという流れにしたかったのではと思う。そこがうまく描かれていない。犯人が得ようとした数学者としての名声が、実は既に意味がなく、更に不倫相手が悪女であったという仕掛けまで用意していたのに、尚更残念だ。

それでもかなり面白いエピソードには仕上がっていると思う。数々の手がかりから推理する古畑の鋭さは健在だし、リゾートホテルでロケのため全体的にいい雰囲気だ。

海外ロケのスペシャル版であり、かなり力の入ったエピソード。