西村京太郎著「殺しの双曲線」の感想。(ネタバレ)

西村京太郎と言えばトラベルミステリーだが、この作品は本格ミステリー小説。

アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のプロットを使っている。更に、メイントリックが双生児であることを利用していることを予め明らかにして、読者への挑戦スタイルをとっている。

2つの事件が関連し合う構成もうまいと思う。そのため最後の謎解きまで、どうなるのかなと興味津々だ。動機に社会的メッセージもこめられていて、社会派の要素もある。

著者のトラベルミステリー同様に文体が平易なので、ストーリーのプロットが頭に入りやすい。ただ、双子の方の強盗事件は、面白いところを狙ってはいるが、とってつけたような設定なのは少し残念。

ベストセラー小説の読みやすさと凝ったプロットが融合した作品。よくできた推理小説だと思う。