NHKBS世界のドキュメンタリー「サッカー 偽代表チームの正体 〜広がる賭博シンジケートの闇〜」の感想

2019年オランダ制作のドキュメンタリー。代表チームによる疑惑のサッカー試合について関係者の証言をもとに構成した番組。

2010年にバーレーンーで、バーレーン代表対トーゴ代表の試合が行われることになった。しかし、トーゴ代表は試合の日に別の予定があった。興行主は慌てて、トーゴ代表監督になんとかチーム派遣をするように依頼する。監督はアマチュア選手を代わりに選び、代表チームとして送り込んだ。そして試合が行われたが、疑惑だらけのものとなった。

実は、この興行主はいわくつきの人物で、サッカー賭博のプロモーターであった。トーゴチームとバーレーン代表とのレベルの差は明らかであったが、審判が買収されており、疑惑の判定だらけの中、試合は進行した。結果的には、興行主が狙った通りにバーレーンが3-0で勝った。これにより、興行主は50万ユーロの利益を得た。トーゴのひとりの選手は300ユーロ受け取ったと証言している。トーゴの監督は逮捕され、サッカー界を永久追放になった。

世界的なスポーツであるサッカーなので、裏では賭博のようなことも行われているのだろうと想像がつく。しかし、ここまであからさまに八百長をするとは、信じられないくらいの杜撰さだ。

それに関係者たちがそれほど悪びれることなく、事の真相を語っていることにも驚く。試合中にまで、八百長の指示をしたことや、動いたお金の金額まではっきりと証言している。興行主は、中国の裏組織の内幕についても述べているが、こんなことまで話をして命の危険がないのか心配になる。

貧しい国では、サッカーは貧困から抜け出す手段にもなっているが、同時に不正の温床にもなっているというつらい現実を描いたドキュメンタリー。

NHKBS1
BS世界のドキュメンタリー
「サッカー 偽代表チームの正体 〜広がる賭博シンジケートの闇〜」

2020年9月29日 00:00-00:46