エラリイ・クイーン著「第八の日」の書評感想。名探偵クイーンも困った。

ハリウッドからニューヨークに車で戻ることになったクイーンは、道に迷いネバタのある集落に入り込んでしまう。そこでは、村人たちは現代文明を拒絶し、今でも古きよき時代の生活を送っていた。彼らの宗教感に戸惑いながら、村民の歓迎を受けてしばらく滞在していたが、ある日聖所の鍵の盗難事件が起きる。それに続いて、雑品係が殺され、クイーンは事件の解決にのりだす。

異色の作品だ。こういった生活を今でも送る人たちがいると聞いたことがあるが、そこにクイーン探偵が迷い込んでしまう。

いつものように、事件が発生しクイーンは簡単に謎を解いてしまう。しかし、そこからもうひとひねりあって、なるほどなと思ったところ、最後にクイーンは本当の迷路に入り込んでしまう。

前半のミステリアスな雰囲気、中盤の謎解き、そして終盤の価値観の転換と、巧みな三部構成。現代価値観を問いかけるようなテーマを突きつけられ、さすがの名探偵クイーンも本当に困ってしまった作品。