映画「日曜日が待ち遠しい!」(1983)の感想。フランソワ・トリュフォーの監督のミステリー。

フランソワ・トリュフォー監督によるミステリー映画。遺作であり、主演は恋人のファニー・アルダン。

不動産会社の秘書バルバラは、社長と衝突して退職することになる。その間際、社長が殺人事件に巻き込まれ容疑者となってしまう。彼を救うために、素人ながら事件の捜査を始め、ニースまで足をのばす。怪しげな人物について探って行くと、思わぬ危険にさらされる。

コメディタッチのミステリー。ロマンスも盛り込まれてはいるが、ヒッチコックの作品ほどの軽さはなく、その分起伏もない。サスペンス感は薄いが、ひととおりのミステリー仕立てのストーリーになっていて、最期はあの人かと思う人物が黒幕として暴かれる。

何と言っても、主演のファニー・アルダンがこの作品の見どころ。全編にわたって彼女の魅力が画面からあふれ出る。彼女を撮るために、モノクロ映像が最大限に利用されている。彫りの深い顔、黒髪と白い肌。衣装もモノトーンの色彩で、より際立っている。美しさだけではなく、飛び跳ねるような躍動感と溌剌とした幸福感をカメラはうまくとらえている。

女性をきれいに撮った映画は多いが、この作品はピカイチだね。