映画「プライベート・ライアン」(1998)の感想。戦闘の悲惨な映像。

ノルマンディー上陸作戦を背景にしたトム・ハンクス主演、スピルバーグ監督の戦争映画。

兄弟がすべて戦死したライアン二等兵を母のもとに帰還させよという軍トップの命令が下る。特別に集められた精鋭の8人は、彼の戦地からの救出と帰還のために危険極まりない任務を遂行する。

多くの戦争映画では、ノルマンディー上陸作戦は勇ましさを前面に出した描かれ方をする。しかし、この作品では、銃弾に倒れる兵士たちの目を覆うくらいの悲惨な状況が映し出される。まるで、「二百三高地」の白襷隊のようで、無謀な作戦にしか見えない。

その後も、負傷兵たちの苦しむ姿が画面に現れ続ける。リアルで荘厳ささえ感じるスピルバーグの映像は健在あるため、尚更戦争の悲惨さと無意味さが実感を持って表現される。

そして、1人を救い出すために8人の命が危機にさらされる。理不尽な命令に従う兵士たちの心の葛藤と懸命に生きる姿が見どころ。

メンバーの一人は後方支援部隊から選ばれた通訳兵。平和の国から見れば、バカな戦争にしか見えないが、その場に立てば通訳兵のような行動しかとれないのではという指摘のようにも思える。

圧倒的な映像力で戦争のむなしさを伝える映画。