映画「大統領の陰謀」(1976)の感想。ウォーターゲート事件のドラマ。

ニクソン大統領が辞任に追い込まれたウォーターゲート事件が題材。世紀のスクープをものにしたワシントン・ポスト記者を主人公としたドラマ。

民主党全国委員会本部に5人組が不法侵入するという事件が起きた。取るに足らない窃盗事件に思われたが、犯人のひとりが元のCIA職員であったことに注目した記者が、地道に取材を重ねていくと、大統領が関与した不正行為をめぐる大スクープとなる。

一貫してワシントン・ポストの記者側の視点で描かれており、ホワイトハウス側の人物は電話や内部情報で出てくるのみ。事件の全体像を俯瞰するような場面は出てこない。ストーリー展開がジャーナリスティックな流れで進み、ぞくぞくするような臨場感を感じさせる。

わずかな手がかりから、手探りで情報をたどる二人の記者のスピード感ある動きは、目をそらすことができないくらいの迫力があり、どんどんと引き込まれていく。

ジャーナリズムを扱った映画は多いが、エンターテインメント性を排し、地道な情報収集に焦点当てた傑作だと思う。