映画「メグレと若い女」(2023)の感想。ジェラール・ドパルデュー主演。

2023年公開の仏映画。ジョルジュ・シムノンのメグレ警視シリーズが原作。ジェラール・ドパルデューがメグレ警視を演じる。

ある日若い女の刺殺体が発見される。高価なドレスとまとっているほかにこれといった手がかりがなく、どこの誰かも判然としない。メグレが捜査を進めると。彼女の不遇な生い立ちが少しずつわかってくる。

被害者の素性が投影されたような暗い画面。若い女にとって根無し草の生活を続けるパリは、危険地帯のような様相を呈している。メグレは足で稼ぐタイプで、地道な聞き込みで手がかりを見つけていく。そこに登場する何やら秘密がありそうな上流階級のカップル。怪しい。

捜査の進行とともに、事件の真相とパリの裏の顔が同時に現れるようで何とも重苦しい。もう一方で、メグレが持つ影が、被害者と同じ境遇の若い女と家庭での妻とのやりとりにより微妙にあぶり出される。

純粋ミステリーというよりも、この時代のパリの持つ裏の雰囲気をうまく取り入れた社会的な雰囲気を持つ作品。