映画「白昼堂々」(1968)の感想。野村芳太郎監督、渥美清主演の喜劇。

1968年公開の万引き集団を主人公とした喜劇。野村芳太郎監督、渥美清主演なのでU-NEXTで観てみた。

九州の炭鉱の集落ぐるみの犯罪集団。生活のために都会に出てはスリや万引きを繰り返している。そのグループのリーダーが渥美清。伝説の元スリで今はデパートの警備員となっている旧知の藤岡琢也に窮状を訴え、大がかりな犯行で大金を狙うことになる。

非常にテンポがよく、コミカルな人情劇が楽しい。キャスティングがいい。渥美清、藤岡琢也はスリでありながらも憎めない人懐っこさ。倍賞千恵子はこういうチャキチャキ娘のような役も似合う。有島一郎の職業気質の頑固さと人間味。ポイントをおさえた配役で、ストーリーがすんなり流れる。

背景には1960年代の炭鉱閉鎖の世相がある。仕事を失った炭鉱労働者たちの生活の困窮がもとになっているだけに、ただの犯罪物語ではなく、時代の哀愁を感じてしまう。それから当時のデパートの状況も見ることができ、これも楽しい。