映画「スクープ 悪意の不在」(1982)の感想。ポール・ニューマン主演。

メディアによる報道被害を扱った作品。ポール・ニューマンがその被害者を演じる。

権力側の新聞を利用した意図的なリークにより、一般市民であるポール・ニューマンが窮地に陥れられる。ニュースを伝えた女性記者は、真実を報道するという信念のもとに、このリークにのせられ、結果的にひとりの女性を自殺に追い込んでしまう。

権力側の横暴、ジャーナリズムの大義ある暴走、それに虐げられ為す術がない市民の三者が描かれる。権力側の行為はもちろん論外。ただ、メディアのフィルターを通すと、ジャーナリズムの大義により、横暴が正当化されてしまう。

今でも通じる重いテーマであるが、淡々とした描き方だ。なりゆきで新聞記者と被害者が恋愛関係になったり、最後の権力側への反撃がクライマックスになっていたりと、ストーリー的にはメリハリはでている。しかし、肝心の報道被害の部分のトーンが薄まってしまった印象を受ける。もっと根の深い問題で、誰かが裁定を下すというものではないと思うが。