ヒッチコック監督によるサスペンス映画。モンゴメリー・クリフト主演。
神父の主人公は、教会で働く男から殺人の告白を受ける。その事件の捜査で犯人が僧衣を着ていたいことなどから、神父が容疑者として起訴されてしまう。不利な証拠が次々とあらわれ、裁判で苦しい状況に陥る。
「間違えられた男」と同じで、無実を証明する手段がないままに、まったく身に覚えのない事件に巻き込まれてしまう社会の中に潜む怖さをサスペンス化したストーリー。
この映画では告白がストーリー展開のうえで重要なポイントとなっている。告白は、宗教的に重い意味があるものだし、日常生活でも軽く扱われるものではない。
教会使用人の殺人の告白、神父の元恋人の告白、犯人の妻の告白。それぞれの告白が、必ずしも意図した結果をもたらさない。
一方、神父も戒律が足枷になり告白ができず、自身の疑惑を晴らすことだけでなく、真実を明らかにすることもできないというジレンマに陥る。
聖職者の苦悩の表情を見せるモンゴメリー・クリフトの演技がいい。元恋人役のアン・バクスターは、刑事コロンボ・偶像のレクイエムでは犯人を演じていた。
宗教的な問題を扱ったサスペンス劇で、ヒッチコック監督としては珍しい作品。