映画「家族ゲーム」(1983)の感想。松田優作主演の傑作コメディー。

森田芳光監督による、家族をとりあげた異色のホームドラマ。松田優作主演。

団地住まいの4人家族の次男が高校受験を控えていた。そこに三流大学生が家庭教師として入りこむことで、様々な騒動が巻き起こる。

よく見ると、この4人家族はいたって普通の人たち。問題児扱いをされている次男ではあるが、それほど変な奴ではない。家族も、親は子を思い、子は年齢相応の悩みを抱える普通の学生。

だが、それぞれが自分の考えのみで生活しているだけで、家族間のやりとりを避けている。親は子供を心配しているというより、子供を心配する親の役をこなしているという感じ。それを象徴しているのが、対面ではなく1列に並んだテーブル。それぞれが家族の顔を見ていない。

松田優作の家庭教師が入りこみ、この家族の接触不良のような部分を拡大してしまう。そこを意図的に引っぱりだして、家族の中の出来事を、家族ゲームならぬ家族ごっこをしているような描き方をしている。

このように普通の生活の一部分を大げさに切り取る手法は、コメディー作品をつくるうえではよく見る方法。松田優作のとぼけた演技が絶妙にマッチしている。

40年近く前の映画だが、時代をこえても面白い。笑えるホームドラマとしては、最高の作品だと思う。