映画「陽のあたる場所」(1951)の感想。モンゴメリー・クリフト主演。

1951年製作。モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー出演。

主人公イーストマンは貧しい家庭に育った。裕福な伯父のもとを訪ね、彼の工場でなんとか職を得る。そこでは社員同士の交際は禁じられていたが、同僚のアリスと深い仲になる。しかし、伯父の娘と親しくなるうちに、アリスの存在を疎ましく思うようになる。

野心家の男が上流階級の女性と親密になり、出世の機会をつかむ。そして、昔の女が邪魔になる。刑事物やサスペンス映画によくある話だ。ただ、この作品は、サスペンス的なものは一部で、ゆれ動く主人公の心理描写が軸になっている。

主人公はなりふり構わぬ野心家ではなく、ごく普通の男だ。成り行きで上流階級に入るチャンスをつかんでしまう。そこから生じる心の葛藤をモンゴメリー・クリフトがうまく表現している。出自に対する負い目、将来への不安、上昇志向、女性への愛情。不安げな表情の内に微妙な心の動き見え隠れする。

ドラマチック過ぎるストーリーだが、モンゴメリー・クリフトの演技はさすがと思わせる作品。