シリーズ第2話で犯人役は堺正章。時系列的には一番最初のエピソードになる。
歌舞伎役者の中村右近は、交通事故の自首をすすめる警備員を誤って死なせてしまう。事故死を装うために、死体を昇降装置を使って舞台に運び、転落死に見えるように工作する。捜査を始めた古畑任三郎は右近が怪しいとにらみ、周辺から執拗に攻める。
倒叙形式では、犯人しか知り得ないことを犯人の言動から見つけることで、犯人が間接的な自供に追い込むというのがよくある王道パターン。この回のプロットがまさにそれ。犯人が不用意に舞台装置の修理を依頼したことが、逮捕の決め手となる。刑事コロンボだと「逆転の構図」が同じようなパターン。
また、古畑の追い込みが激しく、憎らしいほどの意地悪さを見せる。徐々に追い込まれる犯人の焦りと苛立ちの表情。古畑対犯人の心理戦がもうひとつの見どころ。
トリックといい、犯人と古畑の心理戦といい、シリーズのなかでもかなりよくできたエピソード。
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