古畑任三郎第22話「間違えられた男」の感想。犯人役風間杜夫。(ネタバレ)

犯人役は風間杜夫。コメディチックで、再放送が希でレアなエピソード。

犯人の男は妻の不倫相手を殺害するが、帰り道で車がパンクしてしまう。そこでヒッチハイクで自分を知る男の車に乗せてもらう。しかし、犯人が同乗していることを家族への留守電に吹きこまれてしまう。犯行が露呈するのを恐れた犯人は、男を撲殺して録音テープを回収するために男のマンションへ向かう。そこに偶然古畑が訪ねてくる。

倒叙式ミステリーでは、不測の事態で犯人が慌てる、或いは、探偵が犯人であることを知りながら鋭い質問を浴びせることで犯人が動揺するといった場面がある。このエピソードでは、その部分だけを取り出してコミカルな話にしている。

そういう形式にしたことで、古畑と犯人の掛け合いが舞台劇のようになっている。まったくついていない状況の連続と、徹底的に古畑にいたぶられる犯人の姿は笑える。冒頭の完全犯罪の目論みが、脚本的にも無視されるところもうまい。

謎解きはあるので、ミステリーとしても楽しめる部分も残している。

番外編的な構成だが、三谷幸喜の本領発揮といったエピソードで、思いのほかよくできていて、秀作と言えると思う。