NHKBSドラマ アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」の感想。

2015年BBC製作のテレビドラマ。全3回。2016年にNHKBSで放送したものがレコーダーに残っていたので、今さらながら視聴した。

絶海の孤島に招待された8人。様々な経歴を持っている人たちで、何の接点もないようにみえた。招待主は姿を現さない。そして豪邸の召使いの2人を加えた10人が、次々に殺されていく。まるで寓話にもとづいたような殺され方で。最後まで残ったひとりが自殺を図ろうとしたとき、謎が明かされる。

改めて説明するまでもないクリスティーの傑作が原作。冒頭から豪邸の不気味な雰囲気。ミステリー感たっぷりの映像が最後まで続く。

とくに、警察官、判事、将軍、家庭教師、医師など、様々な職業の招待客たちの人物描写が秀逸。当初は紳士淑女たちのようにみえたが、徐々に人間性が明らかになる。人間性むき出しの毒のあるセリフをはき続け、性格をえぐり出すようなシーンが続く。疑心暗鬼の神経戦を通して人間模様が繰り広げられる。

島の自然風景の映像も素晴らしく、イギリスの雰囲気がたっぷりだ。

原作に忠実に映像化しているが、最後の謎解きシーンは原作とは異なる。短い時間であっさりと真相が明らかになる。ここは余韻をもたせた原作の方がよいと思う。

このBBCの一連のクリスティードラマは、傑作シリーズと言ってよいだろう。

NHKBSプレミアム
アガサ・クリスティー そして誰もいなくなった
2016年11月27日 21:00-21:56
2016年12月  4日 21:00-21:55
2016年12月11日 21:00-21:57