映画「スポットライト 世紀のスクープ」(2015)の感想。

2015年公開。トム・マッカーシー監督。マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス出演。第88回アカデミー賞作品賞受賞作。

アメリカの地方紙「ボストン・グローブ」が、カトリック教会の神父による児童への性的虐待と、教会組織による長年の隠蔽を暴いた実話を映画化した作品。新任の編集局長の命を受け、特別調査報道チーム「スポットライト」が取材を始める。当初は一人の神父の事件と思われていたものが、教会組織全体を揺るがす不祥事へと発展していく。

実話ベースということもあって、ストーリーはほぼ一本道だ。取材を重ねて被害者を探し、証拠を集め、記事にするという流れが淡々と進む。そのためやや単調な印象は否めない。教会ぐるみの責任追及という本筋のみが強調され、副ストーリーはほとんどない。この手の映画なら、記者の私生活や抱えている問題が描かれることも多いが、この作品ではそうした要素はほぼ出てこない。

冒頭に登場する新任の編集局長は、何か大きな役割を果たすのかと思わせる描き方だった。しかし実際には、物語を大きく動かすほどではなく、よい上司で終わってしまった。敵側も、何重にも報道を妨害しようとするが、思いのほか手ぬるい。それほど強力な抵抗もないまま、わりと軽く突破されてしまうのは、ちょっと拍子抜けだった。

とはいえ、こつこつと取材を続けて記事にする記者魂はよく描けている。地味な作業の積み重ねが、少しずつ事件の全体像を浮かび上がらせていく過程には、引き込まれるものがある。実話だから仕方がないのだが、描かれるのは記者たちの熱意が中心で、表現が重層的とまではいえない。

それでも、画面から伝わってくる熱量は相当なものだ。かなりおもしろい告発ノンフィクション作品に仕上がっている。