映画「鏡の中の女」(1976)の感想。イングマール・ベルイマン監督。

1976年公開のスウェーデン映画。イングマール・ベルイマン監督による作品。

女性精神科医のエニーが主人公。働く女性としてバリバリと仕事をこなしていた。しかし、彼女は心の奥底には思い出したくない過去の苦悩を封じ込めていた。ある日それが突然吹き出して、精神錯乱のような状態に陥る。

エニーの心の中に切り込んでいくようなストーリー。人の心の問題を解決する精神科医自身が、自分自身の精神のバランスを崩してしまうという皮肉。突然訪れた現実と夢想の中の行き来するような不安定な日々から抜け出せない。家族が寄り添っても、心を許した愛人がそばにいても、症状は回復しない。彼女は患者を診ていたときも、精神科医としてそれなりの処方をしていたはずだが、自分のことになるとどうしようもなくなる。

周りの人たちの愛や、信仰によって彼女は立ち直ることはできない。出口のない迷路に入り込んだ彼女は、苦しみの末に、心の中に再び問題を押し込めて職場に復帰しようとする。人は人の心のを治せるものなのか。

そういえば病院の院長は、彼女以上に患者の診察をテキパキとやっていた。ほどほどのところまでしか治療をしないように。こういった割り切りしか解決策はないものか。考えさせられる。