タイトルは、リチャード・ストックトンのリドル・ストーリー「女か虎か」に因んでいる。読者に選択肢だけ示し結末を委ねるというスタイルで、それをもとにした構成になっている。
ある晩、警察に通報があり警官が駆けつけたが、ただの夫婦喧嘩として処理された。よくある出来事であったが、雑誌編集長の山西はそこから鋭い推理を巡らせ、その裏に何か事件の匂いを感じる。部下の吉川記者に裏を探らせると、土地取引に絡む不正の疑いが浮上する。そこにホステスが被害者となった第一の殺人が起きる。
登場人物が多く、誰もが怪しい。関係も複雑で、それぞれに利害関係がありそうに見える。この人が犯人とすると、それで理屈が成り立ってしまう組み合わせがいくつもできる。難解だ。
著者の人物描写は、どの作品でも生き生きとしているが、このようなストーリー構成のもとでは、それが最大限に生かされている感じがする。どの登場人物も自分が犯人だと言っているようで、読者を挑発するストーリーであるかのようだ。
取るに足らない事件から始まる導入部もいいし、その後も展開の読めないストーリーで飽きさせない。なかなかの力作だと思う。

