半藤一利原作。ポツダム宣言の受託から玉音放送までの24時間を描いた作品。
この映画は繰り返して観ているが、それでも飽きることなく観ることができる。映画としてのつくりがうまいと思う。終戦の瞬間までの24時間に時間を絞っていることで、カウントダウンのような緊迫感を演出している。
政府中枢の中では、キーマンは三船敏郎演じる阿南陸将。閣内は和平という方向に傾いているが、陸軍の不穏な動きにどう対処するかが大きな問題になる。その狭間の難しい立場にあるのが阿南だ。強硬派は狂ったように本土決戦を主張し、クーデターまで起こそうとする。混乱の極みだ。中間管理職のような阿南の苦悩を三船敏郎が見事に演じている。
一般市民の反応はほとんど描かれていない。しかし、不安定な状況を、天本英世率いる一連隊が横浜から東京への狂気の行軍で表現する。挙げ句の果てに、鈴木総理宅を焼き討ちするに及んで、日本が統制のとれない異常事態に直面していることを間接的に示している。
事実がどうかは別問題だと思うが、この時代の戦争映画としてはかなりの秀作になると思う。