韓国映画「シルミド」(2003)の感想。金日成暗殺部隊の実話。

公開当時にも劇場で鑑賞したことがある。韓流ブームが始まった頃で、韓国で大ヒットしたというふれこみで公開され話題にもなった作品。こういうパターンの映画はその後続々とあらわれたため、韓流映画の歴史を振り返るという意味でも印象に残る作品だ。

実話にもとづいていて、金日成暗殺のための特殊工作部隊の物語。この時代の朝鮮半島での南北対立は、米ソ冷戦がスパイ映画の定番であるように、題材としてうってつけだ。

過酷な訓練とそこで生まれる連帯意識、そして悲劇的な最期。ソル・ギョング、アン・ソンギ等の白熱した演技もいい。ヒット作にふさわしい要素がつまっている。

金日成を暗殺して何になるのかという疑問は当然あるし、それで体制が崩壊するとも思えない。しかし現実に北からも青瓦台に暗殺部隊が送り込まれており、戦時に準じるような緊張感のある時代だったのだろう。南北対立がピークであった頃の危機感が感じられる映画だ。