池松壮亮が金田一耕助を演じる横溝正史短編集の第4弾がいよいよ登場。
金田一耕助の事務所で依頼人が死体で発見された。被害者は人気ジャズシンガーのマネージャーで、第二の殺人を予告するようなメッセージが残されていた。ジャスシンガーの周辺を捜査すると、関係者たちの複雑な人間関係が浮かびあがってくる。
クリエイティブな演出で毎回楽しませてくれるこのシリーズ。いつものような大正風のレトロセットと暗い照明が横溝作品にぴったり。今回は第1話から期待以上の出来で大満足。
とくにセリフの使い方が秀逸。それぞれのキャストがエキセントリックな話し方をする。重要な証言はふつうの話し方をさせ、すかさずクセののあるセリフでたたみかける。一見するとかみ合っていないような会話で、やりとりがうねりを打っているようだ。ところがそれにより全体のセリフの流れに抑揚ができてくる。聞いていると、宙に浮くような不思議な感覚を感じるようになる。殺人の恐怖感を一連のセリフの流れを通して表現している斬新な手法だ。刑事役に外国人の日本語のような話し方をさせるとこなどは、まさにクリーンヒット。
今回のの演出は佐藤佐吉監督。出来のいいこのシリーズの中でも、とくに佐藤監督のものはすばらしい。「華やかな野獣」も傑作だったが、今回はそれに迫るくらいの作品だ。
NHKBSプレミアム
シリーズ横溝正史短編集IV 池松壮亮×金田一耕助「悪魔の降誕祭」
2025年4月24日 20:30-20:59