NHKBSドラマ 横溝正史短編集Ⅲ「蝙蝠と蛞蝓」の感想。パルコのポスターのようだ。

NHKの横溝正史短編集第3シリーズの第2作。「蝙蝠と蛞蝓」は、「コウモリとナメクジ」と読む。

主人公は賃貸アパートに住む学生。同じアパートに住む金田一耕助を蝙蝠と呼び毛嫌いしていた。隣には彼が蛞蝓と呼ぶ若い女が住む借家があった。鬱々とした日々を送っている主人公は、気晴らしに女を殺して金田一に罪をきせるストーリーをつくり小説を書く。ところが、隣家の女が本当に殺され、殺人の容疑者になってしまう。

色彩がややどぎつくてインパクトのある映像に目を奪われる。ひと昔前のパルコのポスターのようだ。第2シリーズの「犬神家の一族」に似た雰囲気がある。

謎解きは、なるほどなという展開で決着する。登場人物が限られた短編らしい簡潔な幕切れ。トリックはとくに趣向はなく当たり前のもの。金田一耕助の容貌がタイトルになったり、事件発生に関係したりと、ちょっと変わった設定になっているが、名探偵の力量を見せるには単純過ぎる事件だ。

エキセントリックで派手な色彩を目で楽しむ作品。

NHKBSプレミアム
シリーズ横溝正史短編集Ⅲ 池松壮亮×金田一耕助3「蝙蝠と蛞蝓」
2022年2月25日 23:00-24:29