NHKBSドラマ 横溝正史短編集Ⅱ「犬神家の一族」の感想。30分ドラマになっちゃったよ。

犬神家の一族を30分のドラマにするというので興味津々。それにこのシリーズの出来の良さが相まって、否が応でも期待が高まる。まさか、三谷幸喜流にナレーションで短縮などはしないだろうと思いながら鑑賞開始。

犬神財閥の創始者が莫大な遺産を残して死去した。条件つきの遺言状が発表されると、一族の骨肉の争いが始まる。そして次々に相続の権利を持つものが殺される。戦地から復員したばかりで、顔に大きな怪我を負っている孫の佐清にも疑いがかかる。金田一耕助が難事件の解決に挑む。

多くの場面が犬神家の広間で進行する。そこには一族と関係者がひな壇に並ぶように揃っている。だいぶ昔になるが、NHKに「新八犬伝」というよくできた人形劇があった。そのときを思い出させるように、人物のモディファイのされ方が、人形劇を見ているようだ。全体的にはセリフまわしが中心の舞台劇のようなので、人形劇と舞台劇がミックスされたような雰囲気がある。

やはりナレーションでの状況と真相の説明となったのはやむをえない。人間関係とトリックが複雑でこうするしかないだろう。この作品で欠かせない佐清のマスクと、逆さになった湖の死体の演出はとてもよかった。

手法を凝らしてすべてを盛り込もうとした短縮バージョン。しかし、2時間の本編を30分にしているというよりも、5分のダイジェスト版を30分に引き延ばしたようにもみえてしまい、冗長なダイジェスト版になっている感じもする。説明セリフが多すぎるからだ。横溝作品には欠かせない心理的恐怖感は、完全に捨ててしまっているので、恐い謎解きものではなくなっている。

ただ、パロディとしてみれば、話は違ってくる。最高。既に映画版の犬神家の一族を見ているという前提なら、これほど楽しめるドラマはないだろう。

あまりにも前衛的すぎて、びっくり仰天の作品になった。犬神家の一族が初見でなければおすすめ。

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シリーズ横溝正史短編集Ⅱ金田一耕助 踊る!▽犬神家の一族
2020年2月1日 22:30-23:00