映画「ラ・ファミリア」の感想。イタリア人一家の人間模様。

1987年製作の仏伊映画。エットーレ・スコラ監督。U-NEXTでの視聴。

イタリアの中産階級一家の人間模様。大家族が住む家の中のシーンのみで構成される。主人公はその家の長男として生まれた大学教授。彼の幼年期から老年期までの家族内の出来事が描かれる。

中産階級の上くらいの家柄で、名家と言える家柄ではある。だが、学者の家系なので暮らし向きに余裕があるわけではない。そこに叔父、叔母、従兄弟など、傍流の血筋たちも住む典型的なイタリアの大家族。

決定的な大事件は起きないが、年月を経るに従ってそれなりの波風が立つ。第1次世界大戦から74年にわたる時代のイタリアは、ファシズムの風がふきまくった戦争の時代。家庭内にも政治が暗い影を落とし、政治思想に感化され運動に身を投じる人間も出てくる。政治好きのイタリア人らしい。

老いていく自分と、入れ替わる家族のメンバー。家の中の映像のみなので、いっそう時の流れを感じる。

3人の叔母さんたちの存在には苦笑してしまう。身内がこんな感じで近くにいるというのがイタリアの家族らしい。