植村修一著「世界を支配する運と偶然の謎」書評感想

刺激的なタイトルに惹かれて読んでみた。運に焦点をあててその謎を解明しようという本。事例の紹介が多く、ビジネス、経済、科学、国際情勢など多岐にわたっている。著者は元日銀マンなので、とくに経済金融に関するものが多い。

世の中のあらゆる場面で出てくる運と偶然。成功や失敗の事例を調べてみると、運が重要な役割をはたしている。単に運がよいというだけではなく、あらゆる要素とともに、運の有無が成功と失敗を分けることが多い。成功事例に学べというだけでは、成功に辿りにくいというは、運の要素が入ってこないからなのだろう。

運のいい人は直感を信じるなど共有する特徴も示されている。イノベーターと一発屋の違いとして、理想、努力、熱意、粘り強さなどが挙げられている。

結局のところ、成功するためには運が不可欠ということになるのかと思う。大成功というものは、これ以上ないくらいに条件がそろって、はじめて出現する希な現象。運が大事というのは納得できる結論だが、タイトルに期待したいたので、少し物足りない気がする。