SF界の巨匠が老人の美学について語った本。
本書でもたびたび言及される著者の「敵」を以前読んだことがある。まだまだ元気はあるが、老境に踏み込んでしまった主人公の悲哀をユーモアを交えて描いた作品だ。
それからだいぶ時が経って、著者もかなりの高齢になった。普通に考えれば、80代半ばになって、エネルギーを大量に必要とする創作活動を続けているだけでも驚くべきこと。さらに、テンションをあげて、世をおちょっくったようなナンセンスにみえる論を展開するのは、なかなかできることではない。
年をとってまるくなった人生論はいくらでもあるが、こういう人生論を読むことができるだけで幸せだと思う。