平川祐弘著「日本語は生きのびるか」書評感想

英語一強となるグローバル化が進む今の世界。日本語は生き残れるかについて、歴史的文化的な側面から論じた日本語論。

かって日本は、中国、アメリカの文化的な影響下にあった歴史の中で、独自の日本語文化を育んできた。どのように外来文化を受け入れながら主体性を維持してきたかが詳細に述べられている。

正直に言えば、著者はかなり右寄りの人で、その主張がベースになっている。アメリカと中国、朝鮮が嫌いで、日本に好意的な台湾が好き。なにより日本が大好きという立場。明快な立ち位置だ。それだからこそ辛辣な批判も多く、ふつうなら書かないことも書いてある。

ただ、日本万歳のかけ声に終始することなく、右の立場からのどのような交流をすべきか、どのように英語を学ぶべきかを提言している。

紹介されている歴史文化のトピックスの豊富さには驚く。政治的立場を度外視しても、読む価値がある中身の濃い内容だと思う。