映画「太陽はひとりぼっち」(1962)の感想。時間の流れを感じさせる作品。

ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「愛の不毛三部作」と呼ばれる作品群の第三作。

婚約者と別れたヒロインのモニカ・ヴィッティ。母は投資に夢中で彼女の話を聞こうとしない。知人のセスナに乗ったりするが、気分はよくならない。株の仲買所に勤める青年アラン・ドロンと親密になるが、大きな変化は起きない。

気だるい雰囲気が画面を覆い、淡々と進むストーリー。ヒロインの周りにはいろんなことが起きる。婚約破綻、母の破産、青年との出会い、車の盗難と泥棒の死など。どれも大きな事件だ。ふつうの映画なら話のきっかけとして十分なものばかり。だが、彼女には大きな影響を与えない。

引いたような視点で見る街並みは人工的で生気がなく、まったくの無機質な存在。それでも、人々の生活はあるし時間は流れていく。

虚無的な生活を描いた映画。何も起きないというのもひとつの表現形式であり、これが日常という作品。