映画「動く標的」(1966)の感想。ロス・マクドナルド原作、ポール・ニューマン主演のサスペンス探偵映画。

ロス・マクドナルド原作、ポール・ニューマン主演のサスペンス探偵映画。

しがない私立探偵が、大富豪の妻から失踪した夫の捜索依頼を受ける。捜査を進めると、人気女優とその夫のいかがわしいビジネス、怪しげな宗教団体など、次々と裏の事情が明らかになる。そして大富豪の身代金を要求する脅迫状が届く。

冒頭のアパートでのシーンは、テレビドラマ「傷だらけの天使」を思い出させる。氷を入れた洗面台に顔を突っ込んだり、ゴミ箱に捨てたコーヒーを取り出して飲んだり、うらぶれた探偵の描写としては秀逸だ。

軽快なテンポで不思議な人物たちが次々に出てくる。話しがどんどん膨らんでいって、全貌が徐々に見えてくる構成は飽きさせない。犯人がなんとなくわかってきた終盤は、スピードをあげて一気に解決までもっていくのもうまい。

ポール・ニューマンの渋い演技、巧みな構成、テンポのよさなど、よくできた楽しめる探偵映画。