映画「お葬式」(1984)の感想。伊丹十三監督作品。

伊丹十三監督による一連の映画の最初の作品になる。日常生活に非日常である葬式が入り込むと、どいうことが起きるかがユーモラスに描かれている。

誰もがいずれは経験することになるであろう身内の葬儀。社会的儀式が突然入り込むとどんなに大変なことになるか。急に降り出した豪雨のようなもので、てんてこ舞いになる親族たちの姿には笑ってしまう。疾走するクルマどうしが食べ物を受け渡しするというのはうまい表現だ。

とりあえず、社会通念に従った行動をとらなければならないという息苦しさもある。冒頭スタジオで、サングラスにアロハシャツで形式張った悔やみを述べる業界人のちぐはぐ感が、まさにそれだ。

お布施をめぐる葬儀屋とのやりとりで、本音と建て前が交差するのもよくある光景。それをメガネのレンズのかけかえで表現する葬儀屋のしぐさもいい。

ユーモアで誇張しているようでも、愛人の乱入以外は、どこの家でも起きるようなことばかり。

三河出身という設定は、三途の川から来ているのかな。