映画「赤毛」(1969)の感想。三船敏郎主演の幕末時代劇。

1969年製作。岡本喜八監督、三船敏郎主演の幕末時代劇。

時代は幕末。江戸に進撃する官軍の先鋒である赤報隊。その中に百姓あがりの権三がいた。権三は、代官から年貢米を取り返したり、女郎たちを解放したりと大活躍する。

時代劇に登場する三船敏郎は、剣豪であったり実力者であったりすることが多いが、ここでは官軍の一兵卒でしかない。いつもどおりにエネルギッシュだが、一方でお調子者の演技も見ることができる。相変わらず迫力は抜群。

腐敗した幕府の役人や官軍の横暴をコミカルなタッチをまじえながら描いている。本当の主役は、虐げられる庶民たち。体制の転換という歴史的な出来事の裏で起きている真実。権力争いのはざまで苦しむ庶民たちの哀しい叫び。ユーモラスな演出で厳しい現実が描写されていることで、よりいっそう人々の声が浮き上がってくる。