1963年公開のモノクロサスペンス映画。小林桂樹、仲代達矢出演。
若手弁護士が不倫相手である恩師の妻を発作的に殺害する。すぐに前科のある男が逮捕され、取り調べを受けると窃盗だけでなく殺人も自供してしまう。弁護士は良心の呵責に苛まれ、担当検事に捜査の不十分な点を詰問する。検事は捜査の見直しをすると、容疑者として弁護士が捜査線上にあがってくる。
ストーリーが大きく波打っていて、二転三転する激しい展開。結末は、バレーボールで言えば時間差クイックを決められた感じ、野球で言えばチェンジアップで空振りをとられた感じ。タイミングをずらされたようで、最後はポカンとしてしまった。
前半はかなり退屈。検事の日常生活を中心に取り上げていて、犯人側の描写が少ない。このまま終わっては、サスペンスとしてはシンプル過ぎて物足りないと思いながら視聴を続ける。中盤からは、法律家としての良心の問題が浮上してくるような流れになる。ここが見せ場になるのかなと思い始める。
ところが終盤に入って一気に急展開。ここからが見所。そしてあっけにとられるくらいにアッサリと終わってしまう。
痔の話は必要かなと思ったが、視聴者を油断させるテクニックとしては有効だった。まんまと脚本家のトリックにハマってしまったね。
よく出来たサスペンス作品。当時の映画製作技術は侮れない。