映画「白鯨」(1956)の感想。グレゴリー・ペック主演。

1956年制作。メルヴィルの小説「白鯨」が原作。ジョン・ヒューストン監督、グレゴリー・ペック主演。

白鯨を追いかける船長と乗組員の物語。ほとんどが船上の様子と鯨との格闘であるが、迫力の映像が続く。もちろん当時のことなので、プールかどこかでの撮影だったと思われるが、まったくチープさを感じさせない。この時代の特殊撮影技術でこれだけの迫力を表現してしまっていることには驚くばかりだ。終盤に登場する白鯨の造形とその撮り方などは、緊迫感という点では今の映画と比べても遜色ない。

船長のグレゴリー・ペックは、白鯨への復讐心にとりつかれている。それを諫めるような乗組員との対話は興味深い。人間生活は自然との対話の中で成り立つものだという考えから捕鯨を見るもので、ただの冒険活劇ではない奥深さがある。

一方、この物語の舞台は1840年代。確かペリーの黒船来航のときに捕鯨船の寄港地に関する取り決めがなされたと記憶している。江戸時代に既に世界を股にかける捕鯨を行っていたアメリカ。改めて何ていう国なんだと思ってしまう。