映画「コニャックの男」(1971)の感想。ジャン・ポール・ベルモンド主演。

ジャン・ポール・ベルモンド主演のフランスコメディ映画。フランス革命後の動乱の時代が舞台になっている。

ベルモンド演じる風来坊は、密航したアメリカでとんとん拍子に富豪の娘を射止める。だが、本国の妻と離婚しないと結婚することができない。そこで手続きのためフランスに戻るが、船に小麦をたっぷりと積み込んでいたため、援助と思い込んだ革命軍から英雄扱いされるようになる。そしてたまたま出席したパーティーで美女を助けたところ、彼女が王党派リーダーの妹であったため王党派からも英雄扱いされることになる。ところが、そのリーダーの愛人には彼の妻がおさまっていた。

コメディ映画なので、「リオの男」のような痛快ドタバタ劇を想像していたが、コメディ色はかなり抑えめ。寧ろ、当時の時代が真面目に描かれていて、革命期の民衆のエネルギーが画面を通して伝わってくる。

大義のある革命であっても、当然人間くさい営みが積み上がったもの。欲望が渦巻く人間模様が繰り広げられ、それがコメディなので一層際立つ。

そういった歴史絵巻風のストーリーの中でも、ベルモンドの飛び跳ねる姿は、いつもと変わらず痛快だ。だが、舞台がちょっと大きすぎるかな。