映画「江戸川乱歩の陰獣」(1977)の感想。

江戸川乱歩の代表作が原作。あおい輝彦、香山美子出演。

原作はエログロ的な内容であり、映像化が難しい作品だと思う。だが、あおい輝彦は犬神家の一族のときのように熱演を見せ、香山美子も魅力を十分に発揮している。映像もいい。セピア色風の大正時代の雰囲気を画面上に再現している。

しかし、全体的な構成と流れがあまりよくない。各シーンはうまく撮れているのに、これといって引き込まれる点がない。謎解き、サスペンス感、テンポのどれもいまいち。若山富三郎、大友柳太朗など脇役陣は充実しているが、誰もストーリー上の存在感が薄く本筋の展開にうまく絡んでいない。

角川の犬神家の一族に対抗するかたちで松竹で作られたが、興行的にはうまくいかなかった。乱歩の作品は難しいと思う。