映画「大殺陣」(1964)の感想。迫力と緊迫感の映像。

「十三人の刺客」に続く、工藤栄一監督によるサスペンス時代劇。

大老酒井忠清は甲府宰相綱重を次期将軍とすることで、政を私物化しようとしていた。この陰謀を阻止しようと、山鹿素行を中心に結束した集団が、綱重の命を狙い、酒井の野望をなきものにしようと、壮絶な戦いを挑む。

この作品もリアルな設定。集められた浪士たちは、それぞれの立場で襲撃に参加していて、高邁な志を持って結束しているわけではない。たまたま加わることになったり、どう見ても悪党にしか見えないものがいたり、襲撃中に怖くなって逃げてしまったりと、現実はいろいろだなと思わせるメンバー。最後に綱重を討ち取るのは、なんの関係もない浪人。

襲撃戦は、前作同様にリアルさと迫力で圧倒的。それから悪役の大木実と大友柳太朗コンビの存在感。モノクロ映画の迫力と緊迫感を味わえる作品。